
「ベンチャーにいたら、ずっとベンチャーでしょ」
これ、僕もそう思っていた。
ベンチャー2社を経験して30歳になった時、「大企業を経験したことがない」という焦りがあった。でも同時に、「ベンチャーの経歴で大企業に入れるのか?」という不安もあった。
周りのベンチャー仲間も「ベンチャーから大企業は無理」「行けてもSIerとかコンサルくらい」と言っていた。なんとなく、ベンチャーにいたら一生ベンチャーという空気があった。
結論から言う。ベンチャーから大企業に転職できた。 しかも年収は450万から670万に上がった。
そしてその後、別の大手企業にも転職できた。年収は860万になった。
ベンチャー経験しかなくても、大企業に行ける。ただし、いくつかの条件がある。
条件1:「なんでも屋」を「プロジェクト推進力」に翻訳する
ベンチャーで働いていると、肩書きに関係なくなんでもやる。広告運用、SNS、サイト構築、採用、時には総務的な仕事まで。
これを職務経歴書に「いろいろやりました」と書くと、大企業の人事には「何の専門性もない人」に見える。
僕が学んだのは、「なんでも屋」を大企業の言葉に翻訳することだ。
たとえば、僕の1社目での経験はこうだった。
翻訳前: 「広告運用、SNS運用、Webサイト構築、LP改善など幅広く担当」
翻訳後: 「月間広告予算2,000万円のデジタルマーケティング施策を一気通貫で推進。広告運用からCVR改善まで、PDCAサイクルを回しながら事業成長に貢献」
同じ経験を書いている。でも後者の方が「プロジェクトを推進できる人間」に見える。大企業が求めているのは「なんでもやる人」ではなく、「プロジェクトを前に進められる人」だからだ。
条件2:「大企業が欲しい人材」を狙い撃ちする
大企業の全てのポジションがベンチャー出身を求めているわけではない。狙うべきは「新しいことを始めたい部署」だ。
僕が大手通信会社に入れたのは、新規事業の立ち上げポジションだったからだ。新しいことを始めるには、ゼロから形にした経験がある人が必要。それはベンチャー出身者の最大の強みだ。
同じように、大手小売グループに入れたのはDX本部だった。デジタル化を推進するために、デジタルの実務経験者を社外から採用していた。
逆に、既存事業の管理系ポジションはベンチャー出身には厳しい。 大企業独特の根回しや稟議のスキルが求められるし、新卒プロパーが有利だ。
狙い目をまとめるとこうなる。
| 狙い目(入りやすい) | 避けた方がいい |
|---|---|
| 新規事業の立ち上げ | 既存事業の管理 |
| DX推進・デジタル部門 | 総務・経理などの間接部門 |
| マーケティング(特にデジタル) | 営業(大企業の営業は独自文化が強い) |
| 事業企画・経営企画 | 人事(社内事情の理解が必要) |
条件3:転職エージェントに「翻訳」を手伝ってもらう
自分では「ベンチャーの経験なんて大企業では通用しない」と思い込んでいても、エージェントは別の見方をしてくれる。
僕の場合、dodaのエージェントが「ベンチャーでのデジタルマーケ経験は、大手の新規事業部門で重宝される」と教えてくれた。自分では気づかなかった市場価値だ。
特に重要なのは、「大企業への転職実績があるエージェント」を選ぶこと。 ベンチャー→ベンチャーの転職実績しかないエージェントだと、大企業への転職ノウハウがない。
僕の経験では、dodaは大企業の案件が豊富で、JACリクルートメントはハイクラスの大企業案件に強かった。
僕が実際にぶつかった壁
ベンチャーから大企業への転職は可能だが、楽ではなかった。正直にぶつかった壁を書いておく。
壁1:書類で落ちまくる
大企業の人事は、ベンチャーの会社名を知らない。「この人、どこの会社?」という時点でマイナスからのスタートだ。1社目の婚活ベンチャーなんて、今でこそ有名だが当時は誰も知らなかった。
対策: 会社名ではなく「何をしたか」「どんな規模か」を数字で示す。「月間広告予算2,000万円を運用」と書けば、会社が無名でも実力は伝わる。
壁2:「なぜベンチャーから大企業?」と聞かれる
面接で必ず聞かれる。「安定したいから」は絶対に言ってはいけない。大企業側は「うちに来てすぐ辞めないか?」を気にしている。
対策: 「ベンチャーで培った実行力を、より大きな基盤で活かしたい」と伝える。「逃げ」ではなく「ステップアップ」として語ること。
壁3:年収交渉が難しい
ベンチャーの年収400〜450万がベースになると、大企業側も「じゃあ500万くらいで」と提示してくることがある。これではベンチャー→大企業のメリットが半減する。
対策: エージェントに年収交渉を任せる。自分で言いにくいことも、エージェントなら代わりに伝えてくれる。僕の場合、dodaのエージェントが「この方のスキルなら670万が妥当」と交渉してくれた。
ベンチャー経験は「武器」になる
大企業に入ってから実感したのは、ベンチャー出身者は大企業の中で際立つということだ。
大企業には「上から降りてきた指示を忠実にこなす」タイプの人が多い。でもベンチャー出身者は、ゼロから企画を立てて、人を巻き込んで、形にすることができる。これは大企業の中では希少な能力だ。
僕が大手小売グループで4,000万円のプロジェクトを任されたのも、「ゼロから形にできる人間」が社内にほとんどいなかったからだ。
ベンチャーで「なんでも屋」としてもがいた経験は、無駄じゃない。それは大企業に持ち込んだ瞬間、「推進力」という武器になる。
まとめ:ベンチャーから大企業に行くための3ステップ
ステップ1: 自分の経験を「大企業の言葉」に翻訳した職務経歴書を作る
ステップ2: 新規事業・DX推進・デジタル部門など、ベンチャー出身者が活きるポジションを狙う
ステップ3: 大企業への転職実績があるエージェントを使い、年収交渉も任せる
「ベンチャーにいたらずっとベンチャー」は嘘だ。僕がその証拠だ。
Recommended
